親の介護「もうしたくない」と言えない人へ|現場18年の介護施設職員が本音を受け止めます

親の介護「もうしたくない」と言えない人へ|現場18年の介護施設職員が本音を受け止めます
  • 親は嫌いじゃないけど正直もう疲れた
  • 何度も「逃げたい」と検索してしまった
  • 自分の人生を本当は楽しみたい

忙しい毎日の中、親の介護をしていると「もう介護したくない」と思えてくるのは当然です。自分の親なのに……と葛藤する日もありますよね。

私は病院と介護施設で18年働く管理栄養士です。介護で疲れたご家族を何人も見てきた経験から、いちばん伝えたい結論をお話しします。

「介護したくない」と思う気持ちは、自分を守る第1歩。自分の人生を取り戻せば、親子関係も取り戻せます。

この記事では、介護したくないと思ったあなたが「大切な人も自分も追い詰めずにすむ方法」を、現場の風景と一緒にお伝えします。

目次

親世代の約7割は「家族だけの介護」を望んでいない

親の介護「もうしたくない」と言えない人へ|現場18年の介護施設職員が本音を受け止めます
屋上からの景色はとっても人気です

「親の介護はしたくない」と感じると、罪悪感を抱いてしまいますよね。でも、親世代の本音を知ると、その景色は少し変わります。

しかし、ダスキンの調査では「家族・親族で介護したい・してほしい」と考える人は、子世代で56%、親世代では26%でした。「家族だけの介護」を望む人は4人に1人ほどしかいません。

親世代の多くは「子どもに負担をかけてまで、家族に介護してほしい」とは思っていないのです。

さくら

親が本当に望んでいるのは、「あなたが無理をすること」ではなく「あなたが笑顔で会いに来てくれること」かもしれませんね。

出典:ダスキン ヘルスレント「親のいま」に関する親子2世代の意識調査(調査資料PDF

ネットの厳しい声=世間の声?

「親の介護は逃げたもの勝ち」「したくないなんて薄情だ」。
インターネットには、そんな強い言葉も並んでいます。

でも、それはネットやSNSの声であり、あなたへの意見ではありません。

さくら

ネットで強い言葉を書き込む人は、実はごく一部。声の大きさ=多数派の意見、とは限りません!

インターネット上の声にまどわされず、今の自分の気持ちを素直に受け入れましょう。あなたの心と体が限界を迎える前に、プロに頼るのも前向きな手段です。

▼「もう心が限界かもしれない」と感じている方は、先にこちらを読んでみてください。

下の世話だけはしたくない

「介護したくない」の中でも、口に出しにくいのが排泄の介助ではないでしょうか。排泄介助に関しては、逆にいちばん罪悪感を持たなくていい部分です。

さくら

親の排泄がつらいのは、あなたが薄情だからではありません。お互いに、見たくない・知られたくない領域があるものです。

自分を育ててくれた親の排泄を手伝う。「つらい」「したくない」と感じるのは、どちらも家族だからこその、まっとうな感覚です。

排泄の介助は、家族が根性で背負う仕事ではありません。資格と技術を持った介護のプロの専門領域です。

さくら

もし自分が親の立場だったら?「つらい」と思われながら、お下の世話をしてもらうのってちょっとつらくないですか?

施設では、介護士や看護師が専門の技術で、ご本人の尊厳を守りながら排泄ケアを行います。肌の状態を見て、体調の変化に気づき、必要なら私たち管理栄養士も食事面からサポートに入ります。

在宅でもヘルパーさんなど、専門職の手を借りられます。

すべてをご家族が担う必要はありません。

つらい介護は1人で背負わなくていい

親の介護「もうしたくない」と言えない人へ|現場18年の介護施設職員が本音を受け止めます
イベント前に職員みんなで「えいえいおーー!」

仕事が忙しい、孫の世話がある、自分自身も体調が悪い……

そもそも大変な介護ですが、さまざまな背景が重なるとどんな人でも追い込まれます。介護したくないと思って当然。大切なのは、1人で抱え込まないことです。

「全部やる・投げ出す」の2択ではない

介護に疲れると、「自分が全部やるしかない」「もう無理だから投げ出すしかない」と考えてしまいがちです。でも、本当の選択肢はそこではありません。「1人で全部背負う」のをやめて、「プロと役割を分ける」。

これが第三の道です。

施設に預けても、あなたは親御さんの子どものままです。排泄も食事も夜の見守りもプロが担ってくれます。

さくら

あなたは安心して会いに行って、笑って、話す。その役割こそ「あなただから」できることですよっ

きょうだいに頼れないときは

介護を1人で担っていると、「どうして自分ばかり」と、手伝わないきょうだいへ恨みに近い気持ちが湧くこともあると思います。

その気持ちは、あなたが1人で背負いすぎてきた証拠です。だからこそ、家族だけで解決しようとせずプロという「第三の手」を頼ってください。あなたが倒れてしまっては、親御さんも安心して暮らせません。

まずできる、いちばん小さな1歩

介護で心も体も疲れたときに、いきなり大きな決断はいりません。できそうなものを、ひとつだけ選んでみてください。

  • 今の気持ちをそのまま誰かに話してみる
  • お住まいの地域の相談窓口(地域包括支援センター)に電話してみる
  • 施設の資料を取り寄せて眺めてみる

どれかひとつでも「1人で全部」から確実に1歩離れられます。

施設や窓口に相談するなら

「親の介護に、正直もう手が回りません。どんな手段がありますか?」と、正直に言ってしまいましょう。プロは、その言葉を何度も聞いてきました。あなたの状況に合った方法を一緒に考えてくれますよ。安心してくださいね。

▼「それでも、預けるのは親不孝な気がして……」という方は、この動線の入口からどうぞ。

まとめ|あなたは自分の人生を守っていい

親の介護「もうしたくない」と言えない人へ|現場18年の介護施設職員が本音を受け止めます
晴れ着での面会は他の利用者さんも大喜びでした

「介護したくない」と思うのは、自分の人生を守りたいという自然な気持ちです。仕事や家庭、自分の生活を抱えながら介護を続ける中で、「もう限界」と心や体が教えてくれています。

私が18年間この世界で働いてきたなかで「介護がしんどかった」とおっしゃるご家族になんども出会いました。でも、そのご家族は、親から逃げたかったのではありません。

1人で抱え続ける介護から、逃げたかったのだと私は考えています。

介護は、家族だけで抱え込む時代ではありません。介護サービスや施設の力を借りながら、親子として穏やかな時間を過ごす。これも大切な介護の形です。

施設に入っても、あなたは親御さんの子どものまま。

さくら

あなただからこそできる関わり方を大切にしてくださいね。

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この記事を書いた人

9年の病院勤務を経て、現在は介護施設で管理栄養士として勤務中。
18年間お年寄りとご家族に寄り添ってきた、管理栄養士だからこそ気づける「食事の視点」から、あなたと大切なご両親の安心できる施設選びを、一緒に考えていきます。

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